水飴は、昔、「玄米」を発芽させ、玄米中の糖化酵素を利用して製造されていました。

それが後の時代、発芽玄米より効率の良い「麦芽」を用いるようになりました。これを麦芽水飴といいます。現代では、「デンプン」に酸を加え、加水分解して作られるのが一般的です。還元水飴というものもありますが、これは水飴を加工した糖アルコールを主成分とする甘味料であって、水飴ではありません。

デンプンから作られた水飴は、無色透明でほぼ水分と糖質しか含んでいません。しかし、先の麦芽水飴は原料に由来するミネラル分がわずかに含まれていて、風味を有し、蜂蜜に似た琥珀色をしています。飴細工で用いるのはデンプン由来のモノが適しているようです。

発祥については、酒作りのためにデンプンを糖化したものを、有史以前より製造していたと見られています。日本では京都が発祥とする説が有力ですが、詳しい経緯や場所は今も不明です。

水飴は飴としてそのまま食べるほか、調理材料として広範に利用されています。砂糖が日本に伝来する前には主要な甘味料として利用されていました。今でも和菓子では甘味料のひとつとして使われています。

水飴には砂糖の結晶化を阻害する性質があります。そのため糖分濃度の高い食品に添加することで、滑らかな口当たりを保つ事ができます。また、和菓子のつや出しや、保湿目的で使われることも多々あります。マクロビオティックでは砂糖の代わりに甘味料として使われることが多く、海外での需要も高まってきています。また、料理では、照り焼きのてり出しにも広く使われています。

昭和40年代頃まで盛んに行われていた街頭紙芝居には水飴が付き物でした。子供たちが水飴を割り箸で攪拌して遊びながら、おやつとして食べていたのも、今となっては懐かしい思い出です。南部煎餅に水飴を挟んだものは、「飴せん」としてよく知られています。

少し特殊な水飴として、もち米を原料とした麦芽水飴を乾燥して粉末にした漢方薬の膠飴(こうい)というのがあります。これは滋養強壮作用・健胃作用などがあるとされていて、薬的な役目もになっています。

このように、一口に水飴といっても、いろいろな種類や効能があるのです。